2026年9月30日
今週は、コンソールの導入事例と、ソフトウェアのアップデートを4本お届けします。今週取り上げたのは、次の4本です。
- ヨルシカ ツアーでDiGiCo Quantum852採用
- Waves Tracks Live 2.0 発表
- d&b、ArrayCalcに新機能
- Martin Audio、Display 3をリリース
ヨルシカ ツアーでDiGiCo Quantum852採用
まず1本目です。バンド、ヨルシカの全国ツアー「一人称」で、DiGiCoのフラッグシップコンソール、Quantum852が採用されました。ツアーは2026年の3月から9月にかけて、全国6都市12会場で行われました。
Quantum852は、DiGiCoが2023年に発表したフラッグシップ機です。最大32ビット、96キロヘルツに対応するAD、DAコンバーターを標準搭載しています。処理を担うFPGAは、従来の最大3基から、5基に増えています。
FOHを担当した佐々木優さんは、既存の機種と比べものにならないと話しています。繊細な楽器が重なるヨルシカの楽曲で、各パートがくっきりと抜けてくると評価しています。

モニターコンソールには、同じくDiGiCoのQuantum225を採用しました。FOHとモニターで、同じステージボックスを共有する、ラックシェアの運用ができる点も理由の一つです。

私の見方
Quantum852のような大型のコンソールは、自分ではなかなか使う機会がありません。それだけに、使い勝手の良い小型の機種があれば、ぜひ試してみたい一台です。
元記事:ヨルシカ LIVE TOUR 2026「一人称」のハイクオリティなライブ・サウンドを支えるDiGiCoのフラッグシップ・コンソールQuantum852 – サンレコ
Waves Tracks Live 2.0 発表
ライブサウンド向けの、マルチトラック録音アプリケーション、Tracks Live 2.0が発表されました。最大128チャンネルの録音に対応します。マルチトラック録音、バーチャルサウンドチェック、編集、セッションの書き出しを、一つの流れでこなせます。
MacとWindowsに対応し、Macは、アップルシリコンにも対応しています。Wavesのコンソール、eMotion LV1との統合も実現しています。LV1ユーザーは、シンクという一つの操作で、チャンネルのルーティングやトラック名、パッチングなどを、まとめて取り込めます。
録音中は、LV1のシーン変更が、自動でマーカーとして記録されます。バーチャルサウンドチェックでは、このシーンの呼び出しを追跡し、元のシーン構成を保ったまま、録音したパフォーマンスを扱えます。収録後は、簡単な編集や、ミックスの書き出し、DAWプロジェクトとしての書き出しができます。

私の見方
eMotion LV1から直接録音でき、バーチャルサウンドチェックまで手軽にできるのは、大きな進化だと思います。LV1が、この先どう発展していくのか、目が離せません。
元記事:Waves Unveils New Tracks Live 2.0 For Live Sound Applications – ProSoundWeb
d&b、ArrayCalcに新機能
予測ツール、ArrayCalcに、システムオーラリゼーションという新機能が加わりました。導入前に、スピーカーシステムの設計を、実際に聴いて確認できる機能です。リアルタイムのバイノーラル音声が加わり、仮想の会場内で、さまざまな位置からカバレッジや音のバランスを評価できます。
一人称の視点で、仮想空間を移動しながら聴くこともできます。スピーカーの位置や、配列の角度、アンプの設定などを変えると、その場で音の変化を確認できます。現場に到着する前に、設計を練り上げられる点が特徴です。
ArrayCalcのスナップショット機能と組み合わせれば、再生を止めずに、複数の構成を比較することもできます。システムオーラリゼーションを備えたArrayCalcは、現在ベータ版として、ダウンロードできる状態です。

元記事:d&b audiotechnik Debuts New System Auralization For ArrayCalc – ProSoundWeb
Martin Audio、Display 3をリリース
3Dオーディオの予測と最適化を行う、Display 3が正式にリリースされました。拡張されたベータプログラムを経ての、正式版です。従来のバージョンより処理が大幅に速く、実際の性能の、プラスマイナス1デシベル以内の予測精度を保っているとしています。
ウェーブフロント・プレシジョンのラインアレイでは、機械的な角度の最適化と、DSPによるフィルタリングを組み合わせます。ハードアボイドという機能では、音を抑えたい範囲への回り込みを、最大30デシベルまで抑えられます。新しく加わった「ドントケア」という指定では、SPLやカバレッジの目標を設定しない範囲を、最適化の計算から除外できます。
一つのモデルの中に、複数の最適化パターンを保存することもできます。設計したシステム構成は、Vu-Netを通じて、iKONアンプに直接アップロードできます。同時にリリースされたVu-Net 2.3.5では、イベント前の確認作業を助ける機能が加わりました。
LEDモードでは、キャビネットのLEDを順番に、または個別に点灯させて、配列の並び順を確認できます。ミュートモードでは、キャビネットを一つずつ通過させて、信号のルーティングを確認できます。Display 3は、MacとPCの両方で、無料でダウンロードできます。

元記事:Martin Audio releases Display 3 prediction and optimisation software – Inavate
まとめ
大型コンソールの現場での使いこなしと、予測・最適化ソフトの進化。どちらも、ライブサウンドの質を底上げする動きです。
YouTubeチャンネル「週刊ProAudioNews」では、ライブサウンド(PA/SR)を中心にプロオーディオの最新ニュースを毎週お届けしています。チャンネル登録もよろしくお願いします。